歯の移植体験記【後編】歯の移植は成功するのか

2020年11月14日

修行のような治療の日々

前回の日記では、ブリッジをかけている歯の根が折れていることが判明。

ハノイのことを間違えてクリックしつつ様々なことを調べながら、歯の移植ができる歯科医院を見つけました。
その見つけた歯科医院に初診で訪れるところまで書きました。
そこからブラッシングなどの指導を受け、細かい虫歯を治療し、佐野史郎氏に似た先生が「OK」というまでかれこれどのくらいか、長きに渡る修行に励んだ私。

長かったです。正直もう移植をするぞと新しい治療方針をチラつかせて、患者を増やそうと歯科医が騙してきたのかと思いました。(もちろんそんなことありませんでした。)
そんな疑念は私の心の弱さが作り出したものであります。
いよいよ、歯の移植を受ける日が近づいてきました。

レッツ移植

冬の土曜日の朝、早起きして歯科に向かいました。
気に入りの服を着て、U2の「STAY」を聴きながらドキドキ。
ツィッターで「これから移植です。」などと呟きながら歩みを進めました。

  1. 右下の親知らずを抜歯
  2. 左下のブリッジを外し根が折れた歯を抜歯
  3. 抜いた親知らずを削って左下に埋め込む
  4. ワイヤーで固定

決戦の朝は、上記のスケジュールで治療が行われました。
その日は、佐野史郎似の先生に「痛いかどうか不安です。」と伝えました。
「痛い時はちょっと痛くなってきた時に早めに教えて。麻酔を追加するから。」とのお答えをいただきました。

おーし、遠慮なく痛いと言おう!おー!

1.親知らずを抜歯

親知らずの抜歯は、一度経験したことがありましたが、上の歯でした。
下の歯を抜くことは初体験でした。まずは、麻酔を確か2本注射しました。
その後、麻酔が効いたことを確認すると佐野先生はフックのような金具を私の親知らずにかけ、「では、抜きます。」と宣言。ありったけの力を込めました。

ギリギリとすごい力がかかっている感じがして、ゴリゴリと脳内でのこぎりの音がするような錯覚に陥ります。
ギリギリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリギリ・・・・・・。
「やばい、痛くなったらどうしよう!」と恐怖心はありましたが、スポンと無事に親知らずは抜けました。

右下の親知らずよ、あなたは奥歯として噛み合わせられるという新しい生き方が用意されています。生まれ変わった親知らずよ、おめでとう。
ほっとするのも束の間、歯茎から何か吹き出ている感触がありました。
血だ・・・血が出ている。これは血の味だ。革命には血を伴うんだ、とまざまざと自覚しました。

その後は脱脂綿のようなものを噛んで止血しました。

2.左下のブリッジを外して根が折れた歯を抜歯

次に根が折れた左奥歯を抜きました。
長年、歯と歯の架け橋となってくれたブリッジの金具を先生は職人さんのように工事し、果敢に破壊。
諸悪の根源となった悪い歯を抜きました。それは人生において稀と思われる抜歯に次ぐ抜歯二連チャンでした。

こちらはもう半分に割れていた歯だったため、ギリギリゴリゴリせずともすぐに抜けました。もう死んだも同然の歯にブリッジをかけ、私はでんろく豆などで酷使し続けてしまいました。
まるでブラック企業のように、私は長年歯のことを考えない行いをしました。

ごめんなさい。左の奥歯さん長年ありがとう。

3.抜いた親知らずを削って左下に埋め込む

歯を抜くことが終わったという達成感も束の間、すぐに抜いた親知らずを左の奥歯の跡地に移植しなければなりません。歯根膜がついた状態の親知らずを削って埋め込め!そうしたら根付く!という原理を信じました。しかし、何しろデカくて立派な親知らずだったので処置に大変難儀しました。

親知らずを埋め込むのに適した形に佐野先生が削ってくれるのですが、何度トライしても該当の左奥の歯茎にハマらないのです。
そういえば、前回に診察した時「うまく行くか微妙」と言ってましたね。

佐野先生「えー?なんか上手くいかない。入んないなー。ええー??まじーコレやばいな。」
私「・・・・。(私が悪いんですか。どうしましょう)」

歯を抜くことはできたものの、なかなか歯のサイズを移植用に合わせることができないという事態。時間が少しずつ過ぎていき、麻酔がきれかけてきてしまいました。
私ポカンと口を開けたまま、不安になることすら出来ず呆気にとられていました。

やっと佐野先生が歯のサイズを合わせてくれて「よし」と言った頃にはこの後の治療はどのくらい長いのかな、もう疲れたな、などとぼんやり思っていました。

4.ワイヤーで固定

最後に抜きたての親知らずを患部に埋め込み、歯茎を抜いました。
麻酔が切れかけていたため麻酔を精神安定のために1本追加して貰いました。
もはや、歯を2本抜いた私にとっては歯茎を縫うことなど少しも怖くないわ、なことでした。

また、親知らずを抜いたところの歯茎も縫いました。
術後口の周りが血みどろになっていたことに気づきました。
新しく植えた歯を支えるために、隣の歯に仮歯を被せ(かつてはブリッジをかけて支え合っていた歯でした)、そこにワイヤーで移植歯をくくりつけました。
ワイヤーは外れやすいため、接着剤でも固定されていました。
もちろん、移植した側の歯ではあまり噛まないように指導されます。

ここまでで歯の移植は終了です。

佐野先生に「痛みが出るかもしれないから、先に鎮痛剤を飲んで」と促され薬を飲みました。
先生にお礼を言い、調剤薬局で鎮痛剤と抗生剤を受け取りました。
止血のための布のようなものも頂いた記憶があります。
所要時間は2時間ほどかかり、代金は1万円くらいだったと記憶しています。

人生で一番長く歯牙治療をした日でした。
何だか自分が1つレベルアップしたかのような強い気持ちになりました。
まぁ、単なる気のせいですが。

術後について

私が移植手術を受けたのは、土曜日でした。
その後、月曜の夕方ぐらいに消毒に行きました。
そして更に消毒から一週間くらいして、抜歯したあとの歯茎を縫った糸を外してもらいに行きました。

そうです。
歯の移植を受ける人は、あらかじめ噛まないで食べられる物を購入しておくと良いです。
私が購入した物は以下でした。

  • ふかひれスープ
    豆腐を入れて煮るだけで噛まなくても食べられる物。
  • ヨーグルト
    摩り下ろししたりんごなどを入れて食べました。
  • INゼリー
    噛まなくても栄養を補給できるもの。こんにゃくゼリーは栄養がないからNG。
  • お餅
    確かに食べやすいですが、患部にくっつくのではという恐れがありました。
  • うどん
  • 野菜ジュース
  • 牛乳や豆乳

他にはブレスチェッカーを購入したことを書いています↓↓↓

どのくらい痛い?

歯の移植を受けたい人は術中と術後、どのくらい痛むのか気になるのではないでしょうか。
私もめっちゃ色々な方のブログを読みましたね。
やったことないことは、誰しも不安で怖いものでしょう。

私も、歯を移植された側の傷は痛みましたし、顎の下のリンパ腺が熱を持ったような感覚になりました。
けれども、眠れないほどに痛むことはありませんでした。
移植して3日くらいは痛みが出るのではとビクビクして過ごしました。

が、しかし。
結局最も痛かったのは、下の親知らずを抜いた時の傷跡でした。
ロキソニンを飲んだのは術後2日間くらいでしたが、その後も親知らずの跡地はズキズキと痛みました。
強がらずもっと鎮痛剤を服薬したほうがよかったかな、と思います。

何でしょう。顎の骨から歯を取り出した訳ですから、じわーんずきーんと、いやーな痛みが続きました。
二週間くらいは痛みが続いていた記憶があります。この期間はハンバーガーなど口を大きく開ける食べ物は避けましょう。(当たり前ですよね。)

私は、右下の親知らずを抜いて、左下の奥歯に引っ越しさせたもので、左右どちらにも傷が出来て食事は毎食辛かったです。
移植する親知らずのサイズによりますが、左右どちらにも傷か出来ると日常生活には異常をきたします。

しかし何故だか期待していたほど、痩せたりはしませんでしたが・・・。

その後どう?

私が歯の移植を受けてから約一年が経過しました。
傷跡が膿んだりすることもなく、大きな異常もなく過ごしています。
今は移植歯に仮歯をかぶせて試しで使用しています。

うまく移植は成功し、このまま仮歯で噛む練習をしたあと被せ歯をすることになりそうです。
痛むことも違和感もほとんどなく、過ごせているため移植を受けて良かったと思っています。


しかし、今回移植した歯も永遠に使えるわけではなく、5年くらいではないかというデータがあるそうです。
歯周病に気をつけ、定期検診を受け、歯を長く使いたいものです。

ここまでで歯の移植については終わります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。